思いついたことを考え続け記した雑誌。
生きているだけで、ひとは考え続け、端から、忘れていきます。アイデアや葛藤、あらゆる感情は、浮かんでは消えるものですが、ある一点を記録として切り出し、まとめていったらどうなるのか。編集者から、投げかけられた問い。「見えないものと見えなくなるもの」「低気圧と高気圧」「父性と母性」「お金」。それらは、思考のための種子となり、寄稿者たちはそれぞれの思考を表現していきます。小説、絵、詩、漫画、論考。2020年から2021年の間に表現者たちが取り組んだ、思考記。
『起こさないでください』の作家・仲西森奈さんの掌編や、若き画家・平田基さんによる漫画などを収録しながら、自由にまとめられた一冊です。恵文社スタッフの鎌田もフリーランスの書き手として「空気と自立」というテーマの文章を寄せています。本書は各々の思考を記したもので、内容は一貫しておらず、むしろ散乱しており、そのためか、スピン(紐状の栞)が四本もついています。なかなか見かけない造本上のこだわりです。
出版社「さりげなく」
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若き編集者・稲垣かのこさんが立ち上げた出版社。自由な発想からつくられる、コンセプチュアルな本が持ち味。装丁を手がける古本実加さんはじめ、若いメンバーが集まったグループです。