作家・仲西森奈の「ショートスパンコールシリーズ」第一作目となる連作掌編小説。
ものすごい勢いで何かを語り続ける人、火山灰を探し求める人、「神」と名付けられたウーパールーパー、大声を上げながら向かう海、無音と湿度のなか数多の思考をめぐらすカーセックス、京都という街にちらつく僅かな救い、なくなってしまった行きつけの銭湯と、その銭湯で売っていたバヤリース。窃盗録。ときには重なり、共鳴し、寄り添いながらも離れる。人々と、そうでないものと、それらの事象をつくりあげたもの。ときには愉快にも哀しくも思える記憶の断片。いつかの辞書を思わせる手に馴染む造本も素晴らしい一冊。シリーズは20巻刊行予定です。その道筋を追うようにお楽しみください。(韓)