「あなたの中にすでにバウルがいるのだよ。こうして私を探しに来たのだから」
今日もどこかで誰かが口ずさむ。ベンガル地方に伝わる「バウル」の歌。音楽のジャンルを超越した言葉。行者たちが移動生活をしながら、祭や路上で披露する歌のこと。彼らの歌に譜面はなく、口頭伝承、師弟相伝のみで何百年と歌い継がれてきた歴史をもっています。 伝統芸能か、宗教か、哲学か。廟、聖地、ガンジス河…、バングラディシュの喧騒に飛び込み、幻のような存在を追った川口有緒さんの傑作ノンフィクションが完全版として再び刊行されました。旅に同行した中川彰さんの写真を100ページにわたって収録。書き下ろし小編「中川さんへの手紙」、作家・若松英輔の解説を加筆した決定版。ゆらめく魂の旅を、あらためて。 発行は、インド東部の語り部「ポトゥア」による絵巻『つなみ』の日本語版などを刊行している出版社・三輪舎。装丁は、矢萩多聞さん。輝くような、デザインもぜひお楽しみください。
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