今日生きていることも、昨日生きていたことも全部本当。
明日生きたいことも本当。今がすべてで、いやそんなはずはない。
適当で怠惰であなたが好きで、自分がずっと許せない。
事故が怖い。病気が怖い。何が起こるか分からないから五年後が怖い。二十年後はもっと怖い。
今がずっといい。でも今が信じられない。なのに、今しかない。
晴れていて、風が強くて、花粉がすごい。くしゃみが出る。(本文より)
当店でも愛され続けていた詩人・堀静香さんによるエッセイ集『せいいっぱい悪口』。編集者・北尾修一さんを主宰とする百万年書房の新レーベル「暮らし」第一弾として装い新たに刊行されました。
日々の中で目にするささやかな場面に対する疑問、自分への日常的な怒り、忘れまいと書き留める平凡の中に散らばる断片。どうしても汲み取りきれずこぼれていきそうな感情が、濾過された言葉で丁寧に紡がれています。どこかさみしくもあり、寄り添ってもらえているかのような安心感をも纏う。あらたな書き下ろしと修正・加筆を含むボリューム感のある仕上がりとなっています。(韓)