「いい靴は、一生もんですよ。友達以上です。おわかりですか、わたしたちがふだん、この星と接しているのは、靴底でだけです。」(ーいしいしんじ「靴みがきの日」より)
奈良で靴のブランド〈NAOT〉を展開する「ループ舎」より、靴からはじまるストーリーを集めた短編集。小説家、ダンサー、歌人、エッセイスト…ジャンルの異なる5名の著者が、靴をテーマに広がる情景を思い思いに綴ります。
学校で見つけた大きな「忘れ靴」、片足になった男の靴の行方、旅のトランクに詰める靴たち、憧れのサッカーシューズ。散歩の愉しみから歩きのオノマトペ。青空の下でゆっくりと読みたくなるような、軽やかな心地よさを感じる一冊です。巻末には著者に聞く「靴にまつわるQ&A」も収録。(鈴木)
「靴みがきの日」いしいしんじ
「ひとつも捨てない」大竹昭子
「いっぽの旅」近藤良平
「忘れ靴クラブ」千葉聡
「あたらしい靴」広瀬裕子