布張りの表紙に、背表紙のタイトルは銀色の箔押しの美しい本『星を撒いた街』。たったひとつの詩を、慈愛の満ちた静かな1冊にした『さよならのあとで』。
夏葉社刊行第一作目は、それまで読む事の難しかったマラマッド『レンブラントの帽子』でした。
美しい佇まいの、愛情豊かでユーモラスな本を刊行し続けるのは「夏葉社」という社主ただひとりの小さな出版社。
今やひとり出版社の代名詞となった島田潤一郎さんが「夏葉社」として歩き始めたころのことを、自身の言葉で綴っています。気骨のある仕事ぶりと、忘れがたい人々、過剰なセンチメンタル、そして失恋により突如アフリカへ。泣いたり笑ったりの、何とも愛おしい1冊です。
いつどんな時もえいやっと腹を括って自身を奮い立たせ、人との付き合いを大事にしながら、自分自身の仕事を問い続ける日々の反復に、現在の「夏葉社」があるのでしょう。
真面目も不真面目も、すべて見つめて魅力です。ぜひ、夏葉社刊行の本もご一緒に。
文学紹介者である頭木弘樹さんが「残像のいい人」とタイトルのついた解説を寄せています。