作詞家・松本隆さん。
2021年に作詞活動50周年を迎えられ、ラジオからは松本さんが作詞された名曲が頻繁に流れてきます。そんな松本さんご自身が「ぼくと彼は20年ほど歳の差はあるんだけど、なんだか気があって、よくカフェで時間をつぶしたりします」と評する相手が、京都の本屋・ホホホ座の山下賢二さんです。親子ほどの年齢が離れていても、深い友情で結ばれている。この数年の松本さんの発信を拝見していると、そんな空気がこちらにも伝わります。
この小ぶりな本は、山下さんが松本さんに聴いた数々の質問をまとめた一冊です。対談という形式ではなく、喫茶店で語られた言葉を山下さんが拾い、編集しています。作詞について、「はっぴいえんど」のこと。「作詞家・松本隆」の本が出ると聞いて、まずイメージするような話もありながら、山下さんはより本質的な問いを投げかけていきます。どう生きたらいいのか。お金とは、成功とは。友情とは、恋愛とは。昔を懐かしむだけの本ではなく、未来へと開けた一冊です。対話の舞台は、ふたりが出会った京都の幾つかの喫茶店たち。当地を訪れてこの本を読むのも楽しそうです。刊行は夏葉社から。