私の中では和田誠が永遠の現在形として生きている。― 谷川俊太郎
いまもこうして和田誠さんのことを考えてしまいます。イラストレーションの味に酔いしれ、文章の軽快さに憧れ、装丁の緻密な心意気に驚き、映画の話に頷く。多岐にわたる膨大な活動と作品の数々はどこからやってきたのでしょうか。
和田誠の「たね」。幼少まで遡り、その才能の源泉を探る。
編集者・川口恵子さんに和田誠さん自身が希望した「少年時代」のインタビュー。当時描いていた漫画やイラストレーション、そのほか図画工作の作品や日記までを、豊富な写真と自らの語りで振り返っていきます。家族のこと、当時、心惹かれていたこと。特に、中学から高校にかけて描いていたという担当教員の「似顔絵」をアイコンにした時間割には驚きました。すでに和田誠のイラストレーションがそこにあったからです。貴重な資料を満載した、ほぼ丸ごとインタビューで構成された一冊です。巻末には、詩人・谷川俊太郎の寄稿「終始一貫和田誠」も。「ISSUE」とは、雑誌「SWITCH」の前身にあたる雑誌であり、この機に35年の時を経て新創刊されました。