人一倍体が弱かった幼少期の体験から、「いのち」という弱い存在に向き合うようになった著者は、前作『いのちを呼びさますもの』が大きな話題を呼んだ東大病院医師の稲葉俊郎さん。臨床医として実際に患者と接しながら、西洋医学だけでなく伝統療法や民間療法についても学び、医療という枠を超えていのちについて問いかけます。

今作は、対話や場づくりをキーワードに、医療の「場」について考える一冊です。病気学としての性質が強い西洋医学の知見だけではなく、健康でいるとは一体どういう状態なのかといった、根底にあるものを探りつつ、新しい医療の現場について包括的な視野から想像していきます。医療だけでなく、社会や学びについても通ずる内容です。