惜しまれつつ1980年に42歳の若さで急逝した作家・野呂邦暢の随筆選。故郷・諫早での思い出、京都での浪人時代、苦しかった求職時代、そして作家業に入る生活など、何気ない題材から生まれる文章は読者にとってひとつの体験となり、稀有な力を持った言葉を読むよろこびは読書人冥利につきるものです。この随筆選では、書店や古書店、書物にまつわる文章が多いのも大きな魅力ですが、作者自身が得たそれらの読書経験を分かち合う、それもまた大いなる読みどころのひとつ。全57篇。端正な文体、そこに寄り添う静かな熱と力強さ。「孤塁を守りながら自分の世界を豊かに築き上げていった」と編者の岡崎武志氏が語る野呂邦暢の世界をまた新たに。本書はかつてみすず書房「大人の本棚シリーズ」として刊行され、野呂邦暢再評価のさきがけともなった名編の新装版。作者を愛する人々、そして多くの読書人たちにとってもふたたび待たれた一冊です。
商品情報 |
著者 | 野呂邦暢 |
編者 | 岡崎武志 |
発行 | みすず書房 |
その他 | 128mm × 188mm / 240P / ハードカバー |