武井武雄の刊本作品no.122。武井は本をひとつの芸術ととらえ、執筆、挿画などの構想から刷りや製本という制作にいたるまで、すべて自分自身の手で作り上げた小さな作品を「刊本」と呼び、100を超える名作を世に残しました。いずれも限られた読者のための数百部という限定数しか制作されず、日本の書物の歴史の中でも貴重な位置を占める作品ばかりです。内容は多岐にわたり、風刺的なものや民話調、あるいはどこか外国のコントのような雰囲気のモダンなものが多く、大人の寓話といった趣です。こちらはその122作目で、八百万の神のひとりである「珍竹林乃命」が下界に降り、 八百屋に就職したり、サラ金業者を対峙したりする荒唐無稽な一冊。小さな神様の姿が愛らしく、武井らしい童画の雰囲気も味わえます。署名入り。シリアルナンバーは限定500部中269番。特に目立つ難はなく、標準的な状態ですが、古いものですので、経年による多少の劣化等は事前にご了承のうえお買い求め下さい。
著者:武井武雄 / ハードカバー / 138mm × 155mm / 1973年製作