「ここ数年で街の本屋がずいぶんなくなった。まわりを見わたしてみると、本屋だけでなく、個人経営の喫茶店や居酒屋、レコードショップや映画館も、同じように街から姿を消しつつある。電子書籍やオンライン書店の影響だけが原因ではない。「嗜好品」を扱う個人店のあり方というものに、大きな変化が訪れている。」
本書は、刊行当時恵文社一乗寺店店長を勤めていた著者が、街の本屋が生き残るためのヒントを探るため、京都の個性店のあり方に学ぶ街とお店についての論考。三月書房、六曜社、迷子、屯風にガケ書房・・。小さいながら愛され続ける京都の書店や喫茶店らの、時代に流されない飄々としたあり方に、退屈な街を変えるヒントが見つかるはず。恵文社一乗寺店のこれまでにはじまり、左京区を中心とした京都の街を綴るエッセイも収録。シンプルながらディティールにこだわった造本は「文平銀座」の仕事。書店論ともビジネス書とも一線を画する、ちょっとひねくれた「街と本屋」の本。
著者:堀部篤史 / 出版社:京阪神エルマガジン社 / ソフトカバー上製 / 226P