土門拳撮影による、藤田嗣治の両の手のアップで始まるこの本は、画家の肖像、生活、青春、戦争と多角的にその姿を浮き彫りにする1冊です。同じく土門拳が撮影した麹町のアトリエ風景は、彼のコレクションしたこまごまとした調度品も観察することが出来、ファンならずとも眺めていて楽しい光景。パリでかかわり合ったさまざまな女たちの肖像も赤裸々に紹介、石井好子や田村泰次郎らによる寄稿も読みごたえある、造本、編集共にすぐれた内容です。函に経年による痛み、多少の汚れ、本体仲面には特に目立ったダメージなく良い状態です。
出版社:ノーベル書房 / 230mm × 287mm / 200P / 函入りハードカバー / 1968年発行 / G