写真家 アリ・マリコポロスが2013年と2023年に日本を訪れた際に撮り溜めた作品からなる写真集。被写体となるのは2つの場所。元大横綱・千代の富士が率いる九重部屋を2013年に訪れ、力士たちの練習風景などを活写。四股、てっぽう、ぶつかり稽古など熱い風景がレンズを通すことで静けささえ感じられる世界に転換されます。九重親方のくつろいだ笑顔、稽古場の景色、撮影日が印字されたポジからにじむノスタルジー。そして2023年の舞台は京都大学柔道部。若い選手たちが畳の上で躍動する姿を撮影し一瞬一瞬を捉えた作品群。両方の場に宿る人の体の重みや熱さ、心技体の精神。さまざまなパフォーマンスとポートレイトに不思議な親しみと美しさが感じられる、薄く小さいながらも濃密な一冊です。