和田誠・篠山紀信のコンビで行くニューヨークシティ。大都会であり様々なものの坩堝でもある80年代前半のニューヨークを絵と写真と文章で旅した一冊。ミュージカル、バレエ、食、ヤンキースタジアム、公園、海、人…。アメリカ文化に精通し、20代の頃から憧れながらもニューヨークに行くのは初めてという和田と、仕事で何度かは訪れていた篠山との淡々とした道中。文章は和田の一人称で綴られ、お互いを「シノ」「和田さん」と呼びあい、仲の良さを窺わせながらもお互いの領域を守りつつゆく旅。随所にはさまれた和田誠の映画と音楽への造詣が読んでいて楽しい。どこか一緒に海外へ行こう、という一言から始まったという軽めの企画だったかもしれませんが、今眺めると本当に豪華で貴重な一瞬だったのだなとあらためて感じます。特に大きく目立つ難はなく、おおむね古書として標準的な状態です。