「世界を舞台に活躍してきたキルトアーティスト・秦泉寺由子のクリエーションは、カナダのメノナイトやアメリカのアーミッシュに属する女性たちが縫い綴るキルトに原点を持つ。
日々の営みの一部にキルトがある女性たちは、ひたすら針を動かしていく。
“Quilting for the Load”
彼女たちのキルトワークを、神に捧げるキルト、と秦泉寺さんは表現する。」−まえがきより一部抜粋
2024年4月、京都・鹿ヶ谷山荘にて開催された秦泉寺由子展「バリと京都 鹿ヶ谷にて」に際して制作された展覧会図録。
三宅一生や川久保玲をはじめとする多くのファッションデザイナーにテキスタイルを提供した新井淳一氏との出会いと交流、バリ島に拠点を移し究極の「白」を求めてたどり着いた青竹染め、アジアの国々の織物に着想を得て自ら染めた糸で布を織りはじめ、日本の古典文学の冒頭をコード化してデザインキルトに落とし込むなど独自の発展を遂げるキルトワーク。そして制作に夢中で栄養失調になり、「食」への探求の幕開けと共につくった京都のキッチンスタジオ。アトリエの設営にまで携わってしまう彼女の、多岐にわたる創造の軌跡を辿ります。
印刷は京都のリソスタジオ・Hand Saw Press KYOTOによるリソグラフ印刷、裏表紙にはエクスリブリス(蔵書票)が手貼りされた味わい深い仕様。さらに、新井淳一氏が当時ストッキングを解いて織り上げた貴重な生地に、秦泉寺さんが青竹染めを施し更に蘇我で染めたものでつくられたしおりが封入されています。(藤林)
英訳(原文)冊子付。
※しおりは画像のものと若干異なる場合がございます