図鑑です。名ざせない植物、との距りの。季刊誌です。その名を知るまでのひとときの季節の。目ざましいものではなくてかすかなものを、他をしのぐものではなくて他がこぼすものを、あらしめるもの、またあらしめようと目ざすこころみです。 __『微花とは』
『微花』は、花と本を贈り合うサンジョルディの日に植物図鑑として創刊された季刊誌です。四季四冊、さらに二巡目の春と夏を刊行したのち、四年に渡る月日を経て、雑誌から装幀新たに写真絵本へと生まれ変わりました。
街並みに、道端に、野に咲く春の草花をありのままにおさめた写真の数々。掲載されているのは表紙の雪柳をはじめ、春の草花20種。冬を越え、やっと訪れた春を謳歌するよう芽吹き、花咲く姿を見ると、その生命のまばゆさに思わず外へと足を踏み出したくなります。巻末のテキストでは春の花々の記憶を通してかつてといま、そしてその先の景色がつかの間交わり、邂逅する。新たな季節の訪れとともに、ゆっくりと頁を捲りたい一冊です。
"この複雑な世界において、単純であることはときに難しい。ということを引き受けて、なおもこの世界において単純であること"、ここに絵本と、絵本的なるものを見出し、長く読み継がれるよう辿り着いたあるべきかたち。パラフィン紙に包まれた上品で静謐な佇まいも美しく、紙の手触りひとつ、本の端々から丁寧に作られていることがひしと伝わってきます。贈りものにもおすすめな、当店ロングセラーです。
特典として、台湾で撮影されたポストカードをお付けしています。
●目次
雪柳/蚤の綴り/烏野豌豆/雀野豌豆/姫踊り子草/仏の座/山茱萸/白木蓮/花水木/椿/花韮/西洋蒲公英/姫蔓蕎麦/柊南天/鬱金香/篝火花/丸葉車輪梅/梅/立坪菫
(岡本)