アメリカを代表するイラストレーター・漫画家 ソール スタインバーグ。「The New Yorker」では50年以上にわたり、表紙やドローイングなどで誌面に貢献し、その的確に的を獲た風刺、センスとナンセンスの間をゆく軽やかで知的な線画の数々はアメリカでもっとも愛された芸術家の一人と評されるほど。
本書はそんなスタインバーグのキャリア中期を残す、6冊目の画集です。世の不条理に対して絶えず思考を巡らせ、紙上で表現してきたスタインバーグの本領が存分に生きた絵の数々は、アルファベットを絵に落とし込んだものであったり、五線譜を使用したものなど、手法や筆致の豊かさも見どころのひとつ。1枚1枚非常に濃い内容で、画集ならではの楽しみ光る1冊です。(原口)