五匹の子豚のきょうだいたち。そっくりだから名前もみんなひっくるめて「こぶたちゃん」。そんな五匹で一匹の彼らは自分たちと別の友達が欲しくしかたない。ひょんなことから狼とかくれんぼをすることになり…。小沢正のシュールな児童向け長編に、井上洋介のこれまたさらに奇妙で愛くるしい絵。この上ないコンビが描くこぶたたちの物語の世界。ずらっと並んだコピーのようなこぶたの表情や色使いなど表紙も素敵ですが、中の挿絵も60-70年代の井上洋介のタッチが楽しめて素晴らしい。見分けのつかないこぶたたちを見ているだけで平和な気持ちに満たされるから不思議です。のちに別版も制作されますが、こちらは太平出版刊行の初出の形となります。やはりくたびれはありますが、実に味わい深い版です。函の下部などに経年相応のヨレが見られます。本体は特に大きな難はなく古書として標準的な状態ですが、経年による細部の劣化などはやはりございますので事前にご了承くださいませ。