ある朝、予感がして目覚めた「ぼく」はその日不思議な少年に出会った…。本書は、今は『ブランコのむこうで』というタイトルで知られる星新一のファンタジー小説の前身、初出の形のものとなります。人の夢のなかに迷い込んだ少年の不思議で奇妙な冒険を、優しさあふれる世界観でくるんだ名作。こちらの旧版では画家の香月泰男がおもちゃの写真を活かした装丁を手掛け、絵本作家の真島節子が本文イラストレーションを担当、それだけでも独自の豊かな魅力にあふれています。当時の新潮少年文庫シリーズからの刊行。経年相応のくたびれはありますが、函も比較的状態がよく本文も特に目立つ難はありません。