因州和紙の里として知られる緑深い青谷地区で長年作陶を続ける山根窯・石原さん。その器はとろりとした飴色に、輝く黄土色や白、重厚な黒と、深みのある色合い。どんなお料理も大らかに受け止め魅力をぐっと引き出してくれる、柔らかくどっしりとした器です。
中でも生乾きの素地にスリップ（化粧土）をかけて模様を描く"スリップウェア"は、プリミティブで野性的な佇まい。食卓の景色にリズムを生み出してくれる頼もしい存在感があります。
インドやアジア、アフリカなど異国の古いものや民芸がお好きだという山根窯・石原さん。ご自宅では旅先やお気に入りのお店で集めてこられた異国の調度品ともすんなり調和する、時代や国をも越えた懐の深い温かさも大きな魅力です。
*イギリス発祥の装飾技法。柳宗悦らとともに民藝運動を率いたイギリス人のバーナード・リーチによって日本に紹介された。生乾きの素地にスリップ (化粧土) をかけ、上から櫛目や格子などの模様を描く。古くは紀元前5000年の古代中国・中近東にまでさかのぼるとも。
（岡本）
