水筒に白湯入れるのだ御守りの中身はどうでもいいようなもの
本名といくつかの私語を知るきみがなんだか待っている気がするよ
「ほかる」すらファクトチェックに使われてもう戻れないほかる前には
草花がたしかにわたしを知っていてわたしもあなたたちを知っていた
いま炊いた米を万年後に食べることはできない いまだから炊く
寿司ネタが剥がれて焼き肉のように一枚、一枚、感情になる
『起こさないでください』『そのときどきで思い思いにアンカーを打つ』等でお馴染み作家・仲西森奈さんによる一作。仲西さんが2019年11月頃から、2022年の5月頃までのあいだインターネット上で書き、流しつづけた1137首、日記、エッセイ、テキスト、生活の断片をおさめた写真を収録。ラインの履歴、白湯で飲む漢方薬、救われそうと感じ手に取った本、どうでもいいと思いたいどうでもいいこと。ささやかな言動にも宿る意思。次々に去っていくなにかを覚えていたいように、逃さないように筆をとる。言葉というフィルターを通し垣間見る、蔑ろにしていたうちに蓄積してしまった感情。ひとりの友人であるかのように、或いは一生関わらないであろう他者かのように、ひそかに思いを馳せながらご堪能ください。
落丁束・乱丁束、ページのヨレ、掠れ、印刷のムラなどは自宅出版/出荷による滋味としてご了承ください。