一年の大半を雪に閉ざされる本州最北の地・津軽。本書はその光景を抑えたモノクロでとらえ続けた写真集です。雪に埋もれる電柱、野や畑を覆う積雪、白くけぶる山脈、樹氷、雪原に差す光…。住む人にとっては様々な思いもはらむ雪、しかし青森ならではのその神々しいまでの姿はこの白と黒の世界でみると一段と美しさを増すかのようです。そして美しいだけではない、懐かしいだけではない、雪深い一地方のあるがままの姿もカメラはこの中におさめています。一枚一枚の写真を見つめながらそこから雄弁に語りかけられるものを直に受け取れる稀有な作。津軽出身の写真家・柴田祥さんによる初の写真集である本書は、版元の道音舎による丁寧な本作りも魅力の一端を担っています。大粒で、重い雪。その重みまでもが伝わる一冊。2019年刊行限定600部。