動物のポートレイト写真撮影を中心に、現代社会における人と動物の関係性についての考察を続けるオランダの写真家・Charlotte Dumas(シャルロット・デュマ)による写真集。
2006年の春、イタリアのパレルモの街を見下ろす小さな屋上の宿泊施設で数ヶ月滞在していた間、通りの向かい側の公園で出逢った野良犬の群れ。日陰でのんびり横たわり、港や街のマーケットや精肉店などを転々とし、夜になると吠える声が街にひびき渡る。彼らに魅了されたシャルロットは、その姿を追い撮り収めていくうちに、街の旧市街でそれぞれの独自の縄張りを持つrandagi(野良犬の群れ)に精通するようになりました。だれかがつけたか分からない名前を持ち、丸まって眠るその存在の静けさ、彼らのために置かれたダンボール箱。ひとつの空間 / 群れに属する意味についての思索を齎し、街を構成する一部とも呼べる犬たちへの穏やかで謙虚な眼差しを存分に残した一冊。(韓)