パレ・ロワイヤル
元はパレ・カルディナルという城館をテーマに造られた建物。ベルサイユ宮殿を造った太陽王・ルイ14世が幼少期を過ごしたことでも有名な場所であり、改築などを経て、18世紀当時にはあらゆる階層の人々が集い、パリの贅沢と盛りを一番に集める場所へとなりました。
本書はそのパレ・ロワイヤルが賑やかだった時代を表現したもので、「のぞきからくり絵本」シリーズの中で唯一のぞき穴が3つあるつくり。左右の穴は回廊になっており、ウィンドーショッピングを楽しむ人々、そして中央を覗くと噴水のある中庭で散策を楽しむ人々と、当時の賑わいが再現されております。
しかけ絵本の歴史は古く、元は16世紀頃に天文や医療といった科学的仕組みをわかりやすく伝えるための技法。
絵本の世界にしかけが登場するのは18世紀になった頃から。本書はしかけ絵本を数多く手がけてきた版元、大日本絵画が復刻した「のぞきからくり絵本」です。
縁日や祭りの時に観衆へ向けた「透視箱」をヒントにしたもので、蛇腹式に繋がったプレートをのばし、その穴をのぞく事で立体感を持った景色が見えるといったしくみ。
原本は1830年に作られた作者・発行元が不明なもので、テーマからフランスで制作されたとみられ、その優れた作品性を基にした復元は、プレート部分のニス塗りなどは忠実に、そして蛇腹部分は和紙を使用して耐久性の強化を工夫をしたもの。贈り物にもおすすめです。
(原口)