即物的に吐き出される言葉や写真ではなく、蒸留され樽でねかされるべき気持ちを。流れていく情報ではなく、沈殿する感情を。「個人」の手帳に書き込まれた記憶を開するように放たれる『NEUTRAL COLORS（ニュー・カラー）』。作り手たちが自ら刷る量を決め、オフセットとリソグラフを融合させ、大量生産では実現できない手法で編み出されるこの雑誌は、インクが手についたり、濃淡に個体差があったり、一冊として同じものはありません。

一年ぶりの刊行となる本誌の特集は「仕事」。
「本を刷り続けることを仕事にするため」「雑誌を仕事として継続していけるか」のヒントを探りに、ベルリンのブックフェアとアムステルダムの出版社を訪ねます。テクノクラート（技術官僚）の道を選んだひと、世界のほとんどの人が知らない植物を育て出荷しているひと、シンガポールのインディペンデント出版社のインタビューをはじめ、多様多種な「仕事」と向き合うひとびとのテキストと現場をおさめた写真を収録。常識的な形にとらわれない本をつくるデザイナーの目線、稚拙な文字の連なりとひたすらに向き合う校正者の仕事の裏側、京都に位置する小さな書店で、印刷をし、本を束ねる人。「20年後になくなる仕事」と言われる写植の記録。障害を持つ人が「仕事」をするうえでの本当の声、労働をする本当の意味。 誌内には、本誌の編集長・加藤さんが「目の前の紙を再生し、オリジナル和紙をつくりたい」という思いで美濃和紙の工房に"臨時的"に弟子入りをし抄き込んだ和紙が挟み込んであったり、ページごとに印刷加工の仕様や紙の種類が異なっていたりと、視覚的にも感触的にも深くお愉しみいただける一冊となりました。特典ステッカー付きでお届けいたします。（韓）

※造本設計の特性上、表紙の一部に小さな切れが生じる場合がございます。ご了承の上お買い求めください。

商品情報
発行	NEUTRAL COLORS
サイズ	182mm × 257mm
その他	272P / オフセット・リゾグラフ印刷