もう 年をとってしまったから あんたは あんなに立派すぎる空を 見てはならない
あんたは 台所で しずくをたらす 水道の栓を とめてはならない…(「しずかな人」)
詩人・天野忠の詩集『しずかな人 しずかな部分』。素朴さと静謐さ、選び抜かれた言葉が時に沁み入り時に刺す。抜粋ではけして伝わらないその詩の世界をこの古い一冊で。天野さんの詩集は、もちろん今では新本としてはごく一部でしか入手できないという意味でも貴重なのですが、この第一芸文社から刊行された版の持つたたずまいは特別です。背の部分の黄ばみ、見返しにシミ、裏表紙の褪色などやはり経年による劣化はみられますが、それも含めてどうぞお楽しみください。上記の劣化についてはご了承の上ご注文くださいませ。