1982年に開催された久里洋二展の図録。シュールさ、ユーモア、エロス、どこか脱力…そんな独特の味わいが凝縮された一冊はハンディながら今みても魅力的。シュルレアリスム的描写や岸田劉生ら大家の絵画の模倣、デュシャン張りのコラージュオブジェ、そしてアニメーション。どの手法をとってもやはり久里流が滲み出るのが面白い。朗らかで不思議な毒もはらんだ作品群が一堂に集まった楽しい価値ある一冊です。正誤表つき。少しページが開きやすくなっている箇所もありますが、特に目立つ難はなく、おおむね古書として標準的な状態です。