ありのすさびのアリス 淡きひかりにめざめ あゆみよる窓のかなた 朝露の野末はるかに…(「ありのすさびのアリス」)
矢川澄子のイノセントな言葉の世界を透明感をもって抽出した一冊。アリスをモチーフにちりばめながら、自身から迸ることばを自由に遊ばせかつ繊細に配置して。わらべ唄、ことば遊び、あるいは親しかった人々への追憶のような断章も含めてすべてが矢川澄子にしか作り得ない空間に漂います。シンプルなデザインも独特の香気ただよう現代思潮社からの作。経年相応ではありますが、特に目立つ難はなく古書として標準的な状態です。