1935年、ロンドン発の出版社ペンギンブックス。本書はその草創期、ドイツの出版社「インゼルブックス」をモデルに刊行された「キングペンギンブックス」シリーズの中の1冊。洗練されたデザインと専門的なテキスト、テーマや装丁の上質な造りによるこちらのシリーズは1940年〜1960頃までの間に76タイトルまで出版されました。
こちらはそのキングペンギンブックスシリーズ NO.22「イギリスの紋章」
紋章といえば、何でしょうか。日本には墓石や着物で見る、家族を表す紋章がありますね。そのデザインは幾何学的構造からなり、当時の貴族社会で優美さや地位を顕すものとして、また戦乱の世ではシンプルで視認性の高いデザインでお互いを区別するものとして機能していた家紋。イギリスも同様のようで、騎士たちによるトーナメントや戦闘の際に自分自身を識別するための盾として身につけたものや、パーソナルマークとして時の有力者を示すものとして機能していたことが記されております。騎士の階級を示したり、権威者である事を示したり、紋章の保有者には名誉な事だったことでしょうからその装飾性もまた時代の移り変わりで変化していったよう。本書はそのイギリスでの紋章の歴史を図案資料豊かに語る1冊です。
大変古いものでありますので、それなりにヤケ・傷等のダメージがあります。また背表紙に角カケや割れなど見られます。※保護の為、取り外し可能な透明のカバーを付け管理しております。
(原口)