家族や暮らしをテーマに発信を続ける中村暁野さんの最新作。リトアニア出身のお隣さんとの出会いをきっかけに、自分と他者との間を隔てるいくつもの壁に気づき、その壁に向かっていくまでの日々を綴ります。
コロナ禍、パンデミック、戦争…。私たちを取り巻く社会の大きな変化に時に苦悩しながらも、日常を通して紡ぎ出される言葉は力強い。
知らなかったことを知りたいと思うこと、誰かに何かを伝えたいと思うこと。誰もが少なからず抱える「他者を受け入れたい/受け入れられたい」という感情をまっすぐ見つめる中村さんの姿が印象深い。
前作『家族カレンダー』の続きとしても読める一冊。
(岡本)