出版社の営業をしながら『十七時退勤社』で社長を務める橋本亮二さん。
この本は、彼の日常と彼の好きな人達との文通の記録です。と、いうことで本書のご紹介もお手紙形式といたしましょう。
拝啓『手紙を書くよ』さん
初めてお会いしたのは文学フリマでしたね。薄いグレーのかかったお色の並製本。たっぷりとした文通の記録ということで、持ち帰りページを開くまでお手紙の束を持っている空想に浸っておりました。
ひといきついて、頁をめくると…5名のお名前が。中には、当店の元スタッフである鎌田裕樹さんのお名前も。
ここはお手紙交換の場、心を追って打ち込まれる文字の足跡は、想起しながらつい遠出も。宛てる心は、きっといつもよりおしゃべりになるものなのでしょう。
聞いてほしいこれまでのこと、皆さまの記憶に残る本、仕事やSNSを通した社会への想い。お互いの心に残る忘れられない大切な「あの日」、書店員から農家への転身に思い起こすお客さんとの交流、願い。添えられた追伸「今度、野菜送ります。」
『手紙を書くよ』さん、野菜は届きましたか?
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橋本さんを起点にした手紙の交換は、知らない土地で、知らない生き方をする人々の交友を描きます。関係性からなるやりとりも、お互いを補足しあうように情報豊かに書かれ、個人的なやり取りながら、一緒にお話しているようにまとめられており、寂しい夜にそっと開きたい1冊。
追伸
お読みになる時は、葉書や便箋を用意しておくことをおすすめいたします。
当店にも、素敵な葉書・便箋のご用意がございます。是非合わせてみてくださいね。
(原口)