日本未公開の映画を紹介・上映する、Gucchi’s Free School制作のリトルプレスにして映画の教科書『ムービーマヨネーズ』。
3年ぶりの刊行となる第3号の特集は「映画とお仕事」。ニューヨークのカルチャー、音楽とレコードに通暁している著述家・長谷川町蔵氏、行動を促すニュースレター「Sakumag」主宰・佐久間由美子氏による『アザー・ミュージック』の映画評とコラムを筆頭に、イラストレーター・本秀康氏による描き下ろし漫画「レコスケくん:僕の『アザー・ミュージック』の巻」、アメリカにおけるスポーツバーの存在にフィーチャーした鈴木透氏のコラムを収録。他にも田中東子氏、岡田育氏による福祉のない社会の中働く女性、コンテンツにおける女性の乳首に焦点をあてた『サポート・ザ・ガールズ』の論考、映画の中で描かれるダイナーとそこに訪れる人々を通し見えてくるアメリカの風景に迫る「映画のなかのダイナー」、小津安二郎監督『紀子三部作』クィアやフェミニズム批評の観点から講評した、映画批評家・ロビンウッド氏による論文を早川由真氏の翻訳により初邦訳。
さらに澤部渡(スカート)、トクマルシューゴ、mei eharaなど総勢21名のミュージシャンによるディスクレビューや国内人気レコード店によるテキスト、性犯罪被害の体験を告白・共有する際にSNS上で用いられるハッシュタグ「#MeToo」活動のその後と映画の関係を捉え直す西口想氏によるテキストまで。映画製作に欠かせない様々な業務分野を掘り下げると共に、それらを取り巻く労働環境と直面するハラスメント問題、業界が抱える課題についてなど、今号も読みどころ満載な仕上がり。(韓)