「外国人」として日本に興味を持ち、日本語を学ぶ勤勉な学生はやがて日本に暮らすことに。
日本人という「外国人」の視線に触れ戸惑い、辟易する「きみ」はどこか親しみ深く、「きみ」が徐々に日本に住み慣れていく風景の描写もまた、心に馴染むよう。舞台は京都の丹後から木屋町、出町柳周辺などの学生の多いエリアに移ります。若者だった「きみ」の煩いや、徐々に街を受け入れていく様子が軽やかな文体で描かれています。
表題作は第二回京都文学賞受賞作品。本書はこちらの作品を加筆修正し、書き下ろし作品「異言(タングズ)」とともにまとめた一冊。
【著者プロフィール】
Gregory Khezrnejat(グレゴリー・ケズナジャット)
1984年、アメリカ合衆国サウスカロライナ州グリーンビル市生まれ。
2007年、クレムソン大学を卒業ののち、外国語指導助手として来日。2017年、同志社大学文学研究科国文学専攻博士後期修了。現在は法政大学グローバル教養学部にて准教授。
2021年、表題作「鴨川ランナー」にて第二回京都文学賞を満場一致で受賞した。
(原口)