岩手県盛岡市の「ふだん」暮らしをテーマに、情報誌や広報誌には載ることのない日常の物語を集め、紹介するローカルなミニコミ誌『てくり』。今号の特集は「今日も、地球の片隅で」。コロナ禍の二年間、様々な催しや祭りが消えたのは東北や盛岡も同じ。冒頭ではそんな「祭り」に欠かせない造花専門店「花王堂本店」を取り上げ、盛岡の伝統的な祭事を彩る造花の製造の歴史と背景を紹介してくれます。そして、町のクリーニング店、レコード屋、古い街並みの中にひっそりと開店した若いお店などささやかな商いと暮らしの姿。この星の、この町の片隅で営まれる小さな日々にあたたかな眼差しと柔らかな光をあてた内容は、美しい写真と共に今回も読者を魅了してくれます。巻末の盛岡ゆかりの人物を三人紹介する恒例のページなど、シンプルな中にも見どころ・読みどころも多く、ローカル雑誌としてもその息の長さが魅力の『てくり』です。