言いたいことはいっぱいある。
ただ伝えたいことが多すぎて、
頭の中でまとまらないのだ。
結局いつも、話せば短くなる。
やはり僕はオートマターでしか
うまく自分を表現できないようだ。(はじめに)
オートマターとは、主にヨーロッパを中心に製作された〈自ら動くもの〉を意味するからくり人形のこと。本書は日本を代表するオートマター作家・原田和明さんがその奥深さと面白さに魅了され、長年作り続けてきた作品たちを収録したもの。
カムやクランクなどといった機械要素の紹介をはじめに、43体のからくり人形を日英バイリンガルテキストを交え紹介。ネコパンチを繰り出す猫、中から栗が飛び出す箱、投げキッスを交わすうさぎのカップル、「本当に箸が転んでもおかしいのか?」という素朴な疑問から生まれた作品…。いずれも木製のハンドルを回せば静かに命が宿ります。原田さんの独自の目線より汲み取られたユーモアと愛らしさを存分に含む作品たち。ひとりの手から生まれる仕掛けのつつましさと、緻密に計算され、確約されたその動きの美しさ。原田さんが製作にあたり書き記してきたメモと共に、オートマターの持つ大いな魅力をぜひご堪能ください。(韓)