鹿のこころで
生きていけたら
毎日が
きっと
おだやか
「のほほん」とつぶやきながら、静かに軽やかに身の回りを言葉であらわしてゆ く不思議な詩人・西尾勝彦さん。詩文集である本書では、その世界がまた少し深まっています。構成は、過去に刊行された詩集、フリーペーパーに執筆した文章、私家版など、さまざまな形で発表された詩と文章を再配置して収録。そしてそこに挟まれる書き下ろしのエッセイや俳句が独特の間合いと風合いを醸し出しています。身の回り、好きな詩人、奈良のこと、たましいのこと、尾形亀之助のこと。京都に生まれ奈良に住み、この界隈を穏やかに散策し、思索し、ことばをつむぎだす。それだけの淡々とした営みが作り出すゆるやかな言葉と知の表情。穏やかな木漏れ日から差す光のような、ゆったりと歩く午後の散歩のような。西尾さんだけのテンポを楽しんでください。
収録作品「光ったり眠ったりしているものたち」「古い東洋人」「亀之助気質をお持ちの方へ」「ならならのひと」「なんだか眠いのです」「粥彦の句」「平穏と無事」