「過去の痛み、歴史の重み、個人の傷跡ではない写真。ではなにを撮っているのかということを考えると、それは〈ちょっと先の未来におく写真>−−平和な世界がどんなところなのか、自分が忘れないためにも、いま目の前に見える一瞬の静けさ、光、その平安な時間を、今日、生きているということを祝福する写真を撮っているのだなと思う」(本文より)
モデルや文筆家、写真家としても活動を続ける東野翠れんさんによる写真集。
Pendant(パンダン)とは、フランス語で「〜の間」を意味します。写真における「光」を意識して撮影を続けていた東野翠れんさんが、自身の出産を経て約6年間に撮影した写真とともに約60年前にイスラエル人の祖父によって撮られていた写真と出会い、あらためて実感した「時間の連なり」への想いを本に込められています。彼女自身による祈りにも見える追憶の切れ端。日常に潜む刺々しさなど存在しない、今日、平安な時間を生きているという祝福とともに、ひとつの作品として結実された一冊です。(韓)