復刊ドットコムにより、装い新たに再刊した、いわむらかずおの初期の傑作絵本『うそみーるめがね』
さとちゃんが作ったのは、水色のめがね。みんなに見てもらおうと、めがねをかけて空き地に出かけるのですが、いつも賑やかなはずの空き地はがらんとしています。ただ、土管の上に座った猫が話しかけてきました。「やあ、きみ、いいめがね かけてるね。」。その猫の名は「ごーぐる」。そして、ごーぐるに案内されるまま辿り着いたのは、不思議な地下の街でした。ごーぐるはそこでめがね屋をしていたのです。ごーぐるのお店には、実に様々なめがねがあります。「ゆうやけめがね」かけてみると、あたりがゆうやけ色に。それから…。
夕暮れ時の空き地や公園で、どことなく振り返ってはいけないような気がしたことはありませんか?少し寂しいような、怖いような‥・。急に冷たい風が吹いてきて、お家に帰る時間だよ、早くおかえり、と夜の風に帰路を急かされるような。もしかしたら、さとちゃんもこの様な気持ちだったのかもしれません。少し不思議な余韻が残る、しみじみと味わい深い絵本です。
大きな眼鏡の装画にもご注目。(原口)