春を間近に、大地の中で根っこの子ども達は目を覚まします。それぞれの服を着て、おめかしをしたら、次は虫を起こし、皆で地上へ出ていくのです。美しい季節を謳歌し、すっかり楽しむと、そろそろ冬の頃合いに。
根っこの子ども達は、翌年の春に備える為、ゆっくり眠りについていきます。
絵を担当しているジビレ・フォン・オルファースはドイツの自然の中でのびのびと育ちました。明朗な一方で、ひとり静かに絵筆を手にしていた感性豊かな方だったようです。24才で修道女になり、さらに絵を学んでカトリック系の小学校でシスター教師として美術を教えていたとのことです。根っこの子どもたちの、ころころと愛らしい頬や仕草がとっても可愛らしく、季節の移り変わりによる虫や植物、遠くの大地に喜びを感じる愛情のこもった作品です。根っこの子どもたちはどんな遊びをして、どんなお話をしているのでしょう。長い冬のひと時に、春先の自然を見つけに行く前に、贈り物へもおすすめの1冊です。(原口)