「私は、かつて詩にめざめたことはなかったし、これからもまた、ないだろう」(本文より)
谷川俊太郎が自作を語り、詩への思いを語り、詩と世界の関係への様々な試みを語るエッセイと評論集。詩誌「詩学」をはじめ様々な媒体に寄せた文章から成る本書では、若き詩人のみずみずしい感性とどこか冷めた横顔に出会うことができます。詩とは、何のためにあるのか。難解な文体ではなく、むしろ親しみやすい表現の中で核心をつく言葉に出会う時、読者もまた、詩の世界・詩と世界という普遍的なテーマを考える主体となり得るでしょう。刊行は昭和34年。弘文堂発行の「現代芸術論叢書」の一冊です。前後の見返しにシミあり、それ以外は古書として経年並みの状態です。