トミ・ウンゲラーが1956年にアメリカに移住し、1971年に離れるまでに描いた数々のスケッチ。老人、子ども、ダイナー、フットボール、白バイ警官、そして多様な階層の女性たち。その眼に写る黄金の50年代から激動の70年代に突入するまでのアメリカをシンプルなスケッチで活写した独特のタッチが魅力。ホルスト・ヤンセンやホックニーの画風とも通ずると解説にあるように、特有のシニカルさやエロスに満ちたものだけでなく淡々と描かれた人物や風景にも知性と物語を感じ見入ってしまいます。「すてきな三人ぐみ」を発表した頃とも重なるこれらのスケッチ。ウンゲラーの様々な横顔が凝縮されたような一冊です。スイス・ディオゲネス社より刊行。ソフトカバーとなり、表紙に若干の変色もみられますが、概ね古書として標準的な状態です。