「何のためのベルクだ。この一杯のコーヒーのためのベルクだろ」
新宿駅構内で営業を続けるコーヒーショップ「ベルク」。その特異な足跡や営業への姿勢は広く知られるところですが、そのベルク店内に掲げられる「ベルク通信」に掲載された短文やエッセイが一冊にまとめられました。150号までを丹念に読み直し、ベルクという店のエッセンスを抽出し、書き手の意気をすくいとる編集を行ったのは文筆家・木村衣有子さん。ベルク愛はもちろんですが、ベルクというひとつの飲食店だけでなく、店という存在そのものや商売という行為自体、そしてそこから得られる気づきや店と客双方の幸せなどもひっくるめて、様々なものが伝わる一冊です。ベルクに流れる時間と言葉。この稀有な店から零れ落ちる豊かな何かを感じてください。自由な編集の魅力は自主制作・自主流通ならではで、本書のユニークなタイトルもベルク通信の一節からとられたものということです。