8号から2年ぶりとなる「ぽかん」9号の刊行です。今回も参加者たちが思い思いの文章をものし、本や人にまつわる想い出を自由に語りおろす。特に今号では、ここ数年で没した文人たちへの追悼と追憶の気持ちを込めた文章が集いました。山田稔が小沢信男との触れ合いを辿り、内堀弘が坪内祐三と長谷川郁夫を語り、 編集者・河内卓氏もまた小沢信男について自身の体験を綴り…。それ以外にも、読書人たちによる書物にまつわる旅行記や個人的体験が、そして湯浅芳子や井上多喜三郎らマイナーポエットを巡る連載陣の変わらぬ佇まいが、この雑誌の独自で特異な立ち位置を小さな灯のように照らしてくれます。その人にしか、その時にしか書き得ない文の形。 ページに満ちる散文の妙をお楽しみください。片桐水面さんによる装画が、今回もまた静かな美しさをたたえています。
執筆者:山田稔 / 能邨陽子 / 澤村潤一郎 / 扉野良人 / 秋葉直哉 / 外村 彰 / 河内 卓 / 内堀 弘