不思議な題がつけられたこの絵本は、わたしたちに"自分の石"を見つけるための10のルールをおしえてくれる。それは、あたりが静まりかえっているときにえらぶことや、頭を地球にふれるようにしてじっと見つめること。指と指のあいだにはさんだときに気持ちのいいかたちをえらぶことや、清らかな川の水のなかにひたして色を見きわめること。
訳者の北山耕平さんは、あとがき「なぜすべての人に石が必要なのか?」の中で、長い間共に旅をしてきた石たちについてこう言います。石は友だちであり、それぞれが記憶装置であり、そして生きている小さな地球なのだと。
きっと自分の石を見つけたわたしたちは、ポケットの中に、てのひらのなかに、その石があることの豊かさを知ってゆくのでしょう。その豊かさとは、この不思議な絵本が石たちを通じてわたしたちに問いかけることの、答えとその本質です。
1974年に刊行されて以来、数多くの版を重ねて読みつがれる至高の石の本。地球のうえに生きる誰もが出会うべき一冊です。(藤林)