『ねむたいひとたち』や『ピアノ調律師』など数々の絵本作品を生み出してきたM.B.ゴフスタイン。彼女の創作の真髄に触れる贅沢なインタビューに加えて、ラフスケッチや絵画等未発表作品も収録した貴重な一冊。
彼女の仕事観に強い影響を与えた両親のこと。ミニチュアの家具や人形を動かしながら撮影した写真集のこと。数年をかけて改装したというニューヨーク郊外の小さな家の存在。そして2017年12月、77歳になる誕生日に息を引き取った彼女の、最期のことば。巻末にはゴフスタインの多くの作品の翻訳を手がけた谷川俊太郎さんの詩『「真実の気配」M.B.ゴフスタインに』も掲載されています。
「真実があって私はその気配を感じるの。だから私はその真実を明らかにしなくちゃいけないの。」(「ブルック・ゴフスタインの最期のことば」より)
彼女の言う「真実」とは、嘘いつわりの対義語というよりは、人が一生を通じて探すものであり、幼少の頃すでに知っていたこと、つまり彼女の作品の持つささやかな優しさ、美しさを生み出す原風景そのものなのかもしれません。