「人間が生き延びるということは、他者を破壊するということなのだろうか?他者を破壊せずに共存する方法はないのだろうか?この問いを探るために、自分の人生を振り返りながらこの本を書いた。」
自家製酵母と国産小麦でパンやビールをつくる「タルマーリー」。
菌との対話、日々の実践から生まれた思考と言葉は、感染症の時代にこそ、あらためて注目すべきものだと言えます。その名を広く知らしめたベストセラー『田舎のパン屋が見つけた「腐る経済」』の刊行から8年。タルマーリーのおふたりによる、待ちわびた一冊がミシマ社より刊行されました。
菌と発酵。環境に左右され、いつも同じ味になるとは限らない。「タルマーリー式長時間低温発酵法」が生まれるまでの、試行錯誤と観察。順風に恵まれたように見えたなかで生じた綻び。前作の舞台であった岡山から鳥取県智頭町へ移住、ビール醸造をはじめた理由。人生、子育て、経済、仕事、経営。葛藤と発見を軸に提案される生活。平坦ではない道のりだからこそ、読む者へ共感を生み、実践を促す。手の届く範囲で何かをはじめてみようと、思考を駆動させる一冊です。