2020年4月、緊急事態宣言が発令されて以降、人との距離をあけ過ごすことが当たり前となっているこの頃。誰もが不安な気持ちを抱えるまま、変わりゆく街中と人々の様子を漫画家・今日マチ子さんが丁寧に、静かに描き上げています。2020年4月13日から、2021年の4月7日までの日々の記録と、ページの隅に記された今日マチ子さんによる気づきと感情のメモたち。どこへ行くにもマスクをつけることがすっかり当たり前となり、記憶の中に存在していた場所、よく足を運んでいるお店や街の姿が少しずつ変化していっても、いまだに私の生活は確かに続いていて、季節もいつも通りに移ろいでゆく。
意識していないと忘れてしまいそうな愛おしくも大切な風景たちが、ページを捲るごとに心の奥を優しくノックしてくれる、静かな淋しさと温もりを纏った一冊です。文学者・高橋源一郎さんによる解説ペーパー付。