小説の形をとりながら、名詩を紹介した『ぼくがゆびをぱちんとならして、きみがおとなになるまえの詩集』や、数多くの絵本で文章を書き、子どもが当たり前に持っている、大人が忘れてしまった素朴で豊かな感性を言葉にする、詩人・斉藤倫さん。三年ぶりの書き下ろし長篇が、福音館書店から届きました。
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だれもが、できたてのパンみたいに、ふわふわして、しあわせだった。
一生、かたくならない魔法がかかってる、って、信じてるみたいに。
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「かけがえない」小学五年生の夏。
田舎のおばあちゃんの家に預けられた男の子。新しく空港ができた街で、お盆に、少年はひとりのちいさなゆうれいに出会う。「自分が、ゆうれいのさいごのひとりかもしれない」。ゆうれいを救い、世界を取り戻すために、ゆうれいと過ごした四日間を描いた、爽やかな、夏休みの物語です。添えられる絵は、漫画家の西村ツチカさん。場面ごとに挿しこまれた絵が、作品世界を大いに彩ります。装丁は、名久井直子さん。