“二十四節気の暦の流れに沿って書き留めた風景や生活、そのことをきっかけに思い起こされる私の幼い頃の記憶などは、誰かの日々の暮らしとも重なることがあるかもしれません。そこで世界が広がったり、ホッとしたり。足元にあるささやかな幸せのようなものを共感できたら。”― はじめに

東京から、福島県三春町へ移住。三つの春と書く、美しい名前の町を散策しながら、生活はしみじみと進む。雑貨店「in-kyo」を営む、長谷川ちえさんのエッセイ集。例えば、桜など、樹々のこと、喫茶店のこと、油あげのこと。二十四節気にあわせて綴られた二十四篇では、節分、盆踊り、正月など、祭や行事を過ぎていき、旬な食べ物を楽しみながら暮らしを考え、季節の移ろいを、素朴に、堪能していきます。何でもないささやかな幸せをしっかりと味わうように、ゆっくりと読みたい。

本の内容と見事に相まったイラストは、素描家・shunshunさん。デザインは、書肆サイコロ・サイトヲヒデユキさん。発行は、永井宏『愉快のしるし』の発行元である、信陽堂より。暮らしの、静かな豊かさを確かめていきたい方に、いずれの刊行書籍もおすすめいたします。
＊ただいま限定にてサイン本となっております。